39.2. PL/Tcl関数と引数

PL/Tcl言語で関数を作成するには、以下の標準的なCREATE FUNCTION構文を使用してください。

CREATE FUNCTION funcname (argument-types) RETURNS return-type AS $$
    # PL/Tcl関数本体
$$ LANGUAGE pltcl;

PL/TclUでも、言語にpltcluを指定しなければならない点以外は同様です。

関数本体は、単なる小さなTclスクリプトです。 関数が呼び出された時、引数の値はTclスクリプトに$1 ... $nという変数として渡されます。 結果は通常通りreturn文を使用してTclのコードから返されます。

例えば、2つの整数のうち大きな方を返す関数は以下のように定義できます。

CREATE FUNCTION tcl_max(integer, integer) RETURNS integer AS $$
    if {$1 > $2} {return $1}
    return $2
$$ LANGUAGE pltcl STRICT;

STRICT句に注意してください。 これによりプログラマは、入力にNULL値が与えられた場合を検討する手間を省くことができます。 NULLが渡された場合、関数はまったく呼び出されず、単にNULLという結果が自動的に返されます。

厳密(strict)でない関数では、引数の実際の値がNULLである場合、対応する$n変数は空文字列に設定されます。 ある引数がNULLかどうかを検出するためには、argisnull関数を使用してください。 例えば、引数の片方がNULL、もう片方が非NULLであって、NULLではなく、非NULLの引数の方を返すtcl_maxを考えると、以下のようになります。

CREATE FUNCTION tcl_max(integer, integer) RETURNS integer AS $$
    if {[argisnull 1]} {
        if {[argisnull 2]} { return_null }
        return $2
    }
    if {[argisnull 2]} { return $1 }
    if {$1 > $2} {return $1}
    return $2
$$ LANGUAGE pltcl;

上で示した通り、NULL値をPL/Tcl関数から返すためには、return_nullを実行してください。 これは、関数が厳密かどうかに関係なく、実行することができます。

複合型の引数は、Tcl配列として関数に渡されます。 配列の要素名は複合型の属性名です。 渡された行の属性がNULL値の場合、その属性は配列内には現れません。 以下に例を示します。

CREATE TABLE employee (
    name text,
    salary integer,
    age integer
);

CREATE FUNCTION overpaid(employee) RETURNS boolean AS $$
    if {200000.0 < $1(salary)} {
        return "t"
    }
    if {$1(age) < 30 && 100000.0 < $1(salary)} {
        return "t"
    }
    return "f"
$$ LANGUAGE pltcl;

今のところ、複合型の戻り値を返す機能や集合を返す機能はサポートされていません。

今のところPL/Tclはドメイン型を完全にサポートしていません。 ドメインをその背後にあるスカラ型と同様に扱います。 これは、ドメインに関連する制約が強制されないことを意味しています。 これは関数の引数では問題ありませんが、PL/Tcl関数をドメイン型を返すように宣言した場合は危険です。

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